1、メンタルヘルス対策における主な産業保健スタッフの役割
@産業医の役割:医療の専門家としての病態のアセスメント、復職診断、就業上の配慮に関する意見、医療機関(主治医)との情報交換、社内関係部署との調整・連携、職場環境の改善提案、企画、研修、産業保健スタッフの統括
A保健師等の役割:メンタルヘルス不調者の早期発見、フォローアップ、産業医との連携、労働者・管理者・人事労務部門の相談窓口
B人事労務管理スタッフ:早期の気づき、健康配慮義務を果たすための労務管理、人事管理
C衛生管理者の役割:早期の気づき、周囲からの組談窓口、関係各所との連携
2、質問紙調査を行う上での注意点
プライバシーヘの配慮:人事考課には用いられない、担当者(産業保健スタッフ等)以外には知らされない、プライバシーを保護できる方法で回収する、イントラネットはセキュリティを確実にする
適切な調査票の選択・作成:1つの質問項目で2つのことを尋ねない、文章を長くして誤解させない、新たな質問項目を作るより定型化する
質問紙調査の限界:結果は一時的で調査票の結果だけでは判断できない、ストレス反応得点が高い場合は産業保健スタッフ等が面談する
3、産業保健スタッフが素早く判断すべき精神疾患の判断基準
大うつ病エピソードのDSM− IV の9項目
@2週間以上ほとんど毎日の憂うつ
A2週間以上ほとんど毎日の興味・喜びの著しい減退
B食事療法をしていないのに著しい体重の増減(1カ月で体重の5%以上の変化)
C2週間以上ほとんど毎日の不眠または睡眠過多
D2週間以上ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止
E2週間以上ほとんど毎日の易疲労性または気力の減退
F2週間以上.ほとんど毎日の無価値感または過剰か不適切な罪責感
G2週間以上ほとんと毎日の思考力や集中力の減退または決断困難
H死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図またははっきりとした計画
統合失調症のDSM−Wの5項目(5項目中、2つ以上が1か月の期間該当)
@妄想
A幻覚
B解体した会
Cひどく解体したまたは緊張病性の行動
D陰性症状(感情の平板化、思考の貧困化、または意欲の欠如)の
4、本人からの情報収集を行う上での注意点
守秘義務:産業保健スタッフの中立性や独立性を尊重、漏えいしないシステム
相談窓口、声かけ:相談窓口の設置、職場巡視や声かけ、情報収集、早期対処
状況の把握:企業や職場の状況を把握、保健医療の知識の確認
記録:面談ごとの情報、複数の産業保健スタッフ間の共有、前回までの面談情報
5、面談に基づく対処方法(組み合わせて対応)
@狭義でのカウンセリング:気持ちを整理し問題解決の支援(個人の気持ちに限定される場合)
A専門家へのリフアー:専門家に紹介(精神疾患・身体疾患・法律などで産業保健スタッフの守備範囲を超える場合)
B職場の環境改善:職場環境に起因、管理監督者と協力して解決
C人事労務管理的な対応:人事異動、休職、職場復帰、人権問題、人事労務部門が中心
6、本人から情報収集する際の手順
@ラポール形成:プライベートな内容による緊張の除去、話しやすい雰囲気、守秘義務、安心
A相談内容の確認:不明確な相談内容を明確化
B相談者の問題点の整理:問題整理、重要性・緊急性の判断、質問による確認
C受容・共感的理解:産業保健スタッフの受容(判断を加えずそのまま受け取る)・共感的理解(自分白身のように感じる)の態度、安心