賃金規程・人事評価制度の検討を始めたら、仕事の意味(働く意味)まで遡ってしましました。
会社があると、次のような概念があるはずです。
理念
経営計画
仕事のプロセス(受注、生産、検査、出荷等)とそれを行う組織
各従業員のタスクとキャリアパス
これらがあって、関係して、人事評価制度が成立するわけですね。
会社の利益分配的な意味もありますが、
・従業員のモチベーションを保つ
・人を育てる(評価結果を伝えて従業員の成長を促す)
・適材適所(従業員の能力を評価して、仕事を割り振る)
仕事は神様からのプレゼントでしょうね。お金を稼ぐのはもちろんのこと、
仕事により、自分の能力が上がる、同僚、上司、部下とか周囲の人との人間付き合いができる(悩みも発生しますが、乗り越えて人間は大きくなります。)
そうですね。仕事を通じて人間は向上できるのです。
ティール組織という概念は、フレデリック・ラルー氏が2014年にまとめた著書「Reinventing Organizations」で紹介されたことがはじまりです。
「ティール」とは、英語で「鴨の羽色」のことで、青緑のような色の意味。
ラルー氏は、これまで人類の歴史の中で、それぞれの時代にあった組織が進化していることや、現在、旧来型の組織とは違った新しい組織が生まれて活躍している数々の組織運営事例などを著書の中で紹介しています。
組織の形態に沿って、独自の視点から組織の色分けを行い、これまでの組織になかった次世代のくくりとして「ティール」の色を採用しています。
ティール組織は、生命体と比喩され、簡単に言えば、細胞一つひとつ(社員それぞれ)が自由に変化し続け、自分たち(チーム)の使命を感じながら、個々人の意思決定によって、ありのままに動く次世代型の組織であると言っています。
うまく名づけされています。「オオカミの群れ」→「軍隊」→「機械」→「家族」→「生命体」
4-1:衝動型組織(レッド)
人類の進化の過程で、強力な上下関係から原始的な王国への成長過程で誕生した組織体のこと。組織の長が圧倒的な力をみせながら、構成員を無理やりにコントロールしていくのがレッド組織です。
現代では、ギャングやマフィアなどに多く、戦闘地域、刑務所、治安の悪い街など敵対的な環境に適しています。
内戦や国家破綻時など混沌とした世の中への対応力は高いが、安定した環境で、計画や戦略を練りながら成果を達成することは難しいと分析しています。
ラルー氏は、この組織体を「オオカミの群れ」と例えています。
4-2:順応型組織(アンバー)
計画的な成果達成が難しかったレッド組織から、成長したのがアンバー組織。
灌漑システムやピラミッド、数百年かかる大聖堂の建築など中長期の計画を立てて進行することができる組織体です。
アンバー組織には堅固なピラミッド構造で、揺るがない階層が存在し、トップダウン型の命令系統が採用される特徴があります。工場であれば、工場長、部門長、ユニットマネージャー、ラインマネージャー、作業長、作業員の順に管理している形式です。
誰が何をするのか、明確に定められたルールがあり、下の階層には、命令に忠実に従うことが期待されています。アンバー組織は、外部との間に壁が築かれることや、終身雇用制が多いのも特徴です。
主な組織として行政機関や警察、公立学校でもよくみられます。ラルー氏は、この組織体を「軍隊」と例えています。
4-3:達成型組織(オレンジ)
アンバー組織同士での競争が増す中で生まれたのがオレンジ組織。
現代のグローバル企業の多くがこの組織体です。
基本的なピラミッド階層構造はありながらも、競争相手よりも速くイノベーションを起こすために、トップを含めた経営層が全体的な方向性を決めて、戦略計画、中期計画、年間予算サイクル、KPIなどさまざまな成功を目指して進みます。
大きな特徴の一つが、実力主義です。
アンバー組織のようなある種、固定化された階層ではなく、一人ひとりの才能は開花され、誰でも成果を上げると昇級することが可能になりました。
オレンジ組織のリーダーは目標を重視し、人間関係よりも業務遂行を優先させます。
公平で、合理的なことに価値があり、感情には流されないように用心しています。ラルー氏は、この組織体を「機械」と例えています。
4-4:多元型組織(グリーン)
オレンジの次に現れたのが、価値観や文化を重視するグリーン組織です。
成果達成型では、社員が自らの生産性を上げ続けることで、オーバーワークになってしまう状況が出てきたことも要因の一つと考えられます。また、最近は働き方改革など社員のやりがい、働きやすさ、満足度の向上を目指して進化したとも言えるでしょう。
グリーン組織は、オレンジのような実力主義に基づいた階層構造はありますが、
意思決定の大半は最前線の社員に任されています。
現場の方がより良い判断ができるという信頼により権力を分け与えています。
グリーン組織のリーダーは、問題を公平に解決するのではなく、部下の声に耳を傾け、仕事に動機付けを行います。 CEOは企業文化と、共有価値を育てて守ることを大切にします。
研修や文化活動、360度フィードバック、社員のモラル調査など社員中心の取り組みを多く行っている組織です。お互いに助け合い、お互いを認め合い、お互いのために存在しているという共通の価値観などがあります。ラルー氏は、この組織体を「家族」と例えています。
4-5:進化型組織(ティール)
グリーン組織から次のレベルに発展したと言われるのがティール組織。
全ての社員がそれぞれ意思決定権を持ち、組織の使命と自らの使命を日々感じながら自主経営を行っていきます。
基本的にはチームで行動しますが、チーム内にもリーダーは不在で、各社員の強みを活かした役割が流動的に振り分けられます。
全員がフラットな関係性を持ち、経営陣をはじめ、上司、マネージャーなどの管理職もいません。ラルー氏は、この組織体を「生命体」と例えています。
コロナ後の経済再構築の軸となるのは彼が提唱する“倫理資本主義”である。
「たとえば今、非常に裕福な人たちがコロナ危機に乗じて稼いでいる。彼ら次第ではありますが、得た利益をパンデミックで最も苦しんでいる子どもたちや、恵まれない国の人々に分け与えるべきです。
大勢の幸せを優先することは経済成長を緩やかにしますが、今とは違った方法でお金を稼ぐことができる。私はこれを“倫理資本主義”と呼び、ポストパンデミックの産物になり得ると考えています」
環境問題や貧困問題などは、グローバル企業が利益を追求しすぎた結果生まれたものである。そしてコロナ禍をきっかけに、倫理や道徳が世界の価値観の中心となる“倫理資本主義“が大切になると語る。
「富とは単にお金を稼ぐことではなく、善いことをする可能性だと考えるべきです。たとえば、ある程度稼げば人はお金持ちになりますよね。そうなった場合、自分が持つ資源、権力、お金、人脈を投資に回すべきです。
最初は近隣住民、次は自国、次は州、さらに大きな地域へ。理想は、豊かではない他の地域や国への投資です。富とは、富を共有する可能性であり、他者のために善いことをする可能性であります。増えた富を倫理観に基づき再分配することを、ゴールとして設定するべきです。それが完璧なインフラなのです。